ゆるテックノート

VPNの設定種類まとめ

VPNアプリには「フルトンネル」「スプリットトンネル」「DNS保護」「キルスイッチ」など似たような設定が並びます。どれも通信の通り道を決める設定ですが、何をVPNへ流し、何を通常回線へ残すかが違います。

フルトンネルとスプリットトンネル 🌐

VPN設定で最も重要なのは、どの通信をVPNへ通すかです。ここが変わると、ISPやWebサイトから見える情報も変わります。

主な違い

設定 動き 向いている用途
フルトンネル 原則すべての通信をVPNへ通す 公衆Wi-Fi対策、アクセス元IPをまとめてVPN出口にしたい場合
スプリットトンネル 指定したアプリや宛先だけVPNへ通す 社内システムだけVPN、動画やゲームは通常回線など
アプリ別VPN ブラウザだけ、ゲームだけなどアプリ単位で切り替える 速度や相性を見ながら一部だけVPN化したい場合

注意点

  • フルトンネルでもローカルLANなどの除外経路が残る場合がある。IPv4とIPv6の両方、DNS、アプリの例外設定を確認する。
  • スプリットトンネルは便利だが、VPN外へ出した通信は通常回線のIPで見える。
  • どちらの構成かによって、ISPやサービスから見える情報が変わる。

DNS設定とDNSリーク

DNSはドメイン名をIPアドレスへ変換する仕組みです。VPN中でもDNSだけ通常回線へ流れると、アクセス先の手がかりがISP側に残ることがあります。

設定パターン

  • VPN提供のDNSを使う:DNSサーバーを指定するだけで経路まで保証されるわけではない。実際の問い合わせ先と経路を確認する。
  • OSやルーターのDNSを使う:設定によってはVPN外へ問い合わせることがある。
  • DoH/DoTを使う:DNS自体を暗号化するが、VPN経路を通るかはアプリやOS設定次第。

WebRTCリークとローカルIP

WebRTCはブラウザで音声/ビデオ通話などを実現する機能です。設定やブラウザによっては、VPNとは別のローカルIPや経路情報がWebサイト側に見えることがあります。

対策の考え方

  • VPNアプリのリーク保護を有効にする。
  • ブラウザの公式設定や管理ポリシーでIP公開を制限できるか確認する。私用アドレスの表示と、本来隠したい公開IPの露出は区別する。
  • 仕事やゲームでWebRTCが必要な場合は、機能を止めると動作に影響することがある。

キルスイッチと自動再接続 🔒

キルスイッチはVPN外の通信を遮断するための機能ですが、遮断範囲はOSや製品により異なります。自動再接続は接続を戻す機能であり、再接続までの通信遮断を意味しません。起動前・手動切断・スリープ復帰・回線切り替えでも遮断が続くか確認します。

使いどころ

  • VPN出口IPで通信したい作業をしているとき。
  • 公衆Wi-FiでVPN切断時の素の通信を避けたいとき。
  • ゲームや通話では、切断時に通信が止まるため使い勝手とのバランスを見る。

VPNプロトコルの種類

VPNプロトコルは、VPNトンネルを作る方式です。速度、安定性、対応端末、ネットワークでブロックされやすいかが変わります。

代表例

方式 特徴 ざっくり向き
WireGuard UDP上で動作する暗号化トンネル。速度は端末・回線・実装にも依存 対応クライアントとUDP通信が使える環境
OpenVPN UDPまたはTCPを選べる。TCPでも制限回避が保証されるわけではない 対応クライアントで柔軟な構成を使いたい場合
IPsec/IKEv2 OS標準対応が多く、企業VPNでも使われる 会社VPN、モバイル回線での再接続
SSL-VPN TLSを使う製品群の通称。ブラウザのアプリ中継型と全体のトンネル型を区別 製品ごとの機能を確認してリモートアクセス

どう選ぶ?

まず、どの通信をVPN内に限定したいかを決めます。フルトンネル・DNS設定・キルスイッチは別々の機能なので、名称だけで判断せず実際の経路と切断時の動作を確認します。会社の管理端末では指定された設定を優先します。

用途別の目安

  • 公衆Wi-Fi対策:フルトンネル、DNS保護、キルスイッチを優先。
  • 会社VPN:フルかスプリットかは組織の設計次第。独自に除外せず、指定された設定に従う。
  • ゲーム:遅延が増えるならゲームだけ通常回線、ブラウザだけVPNなども検討。
  • 見える情報を確認したい場合は、VPN利用時に誰から何が見える?も合わせて読む。

仕様と関連情報

Microsoft: VPN routing / Android: VPN / RFC 8828: WebRTC IP handling / WireGuard / OpenVPN manual / VPN方式の違い